【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 クライヴは、彼に言い募りながら泣いているスイレンを見て困ったように俯いた。

 飄々として余裕を持っているように見える彼でも、今回の目の当たりにした出来事や、契約を交わしている竜騎士である相棒のブレンダンの大怪我は、大きな衝撃を受けているのだろう。かなり憔悴しているようだ。

「お願い。クライヴ。貴方なら、飛べるでしょう。私を魔の山まで、連れて行って。リカルド様とワーウィックが、怪我をして動けずにいるなら。すぐに助けに行きたい。お願い。お願い」

 スイレンは、少年の姿をしている竜に縋った。魔の山にまで人の足で歩いていけば、何日もかかってしまうだろう。

 花魔法しか満足に使うことの出来ないスイレンは、今この状況では彼に頼る以外なかった。

「スイレン。僕も自分の上位種であるイクエイアスが、不可侵の条約を交わしているあの場所へは竜の姿では行けない。そして、こうやって人化してしまうと魔法も使えないし、身を守ってくれる硬い鱗もないし、攻撃のブレスも吐けない。君を、守れなくなるんだ」

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