【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「守ってくれなくて……良いの。私はリカルド様を、安全な場所で見殺しにするくらいなら、助けに行ってから死ぬほうが良い。彼を助けることの出来るほんの少しの可能性でもあるなら、行きたいの。クライヴは、私を送ってくれたらすぐに帰っても良い。私一人で行けるから」

 涙で濡れた頬を手で拭いながら、スイレンは決然として立ち上がった。

(リカルド様が死んでしまった世界に、何の意味があるの。それならばもう、彼を助けに行く道中でのたれ死んだ方が、まだ良い)

 スイレンは、危険に立ち向かうことに迷いはなかった。あの人が居ればと思いながら生涯を過ごすには、もうあの人を愛し過ぎていたから。

「待って……どうか。待って。スイレン。落ち着くんだ。どうしても、君がそう言うのなら……イクエイアスに一度相談してみよう。彼なら、何か妙案を出してくれるかもしれない」

 イクエイアスというと、このヴェリエフェンディを守護している竜だった。

 ワーウィックやクライヴはイクエイアスの眷属で、そのため竜騎士との契約に応えてくれているのだ。野生の竜は、滅多なことで人と契約など交わしたりしない。

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