【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 隣に居たクライヴは、静かに冷静な声で告げた。

 スイレンは彼の言葉を聞いてそういえばと、思い至った。

 ワーウィックやクライヴは、スイレンが花魔法で出す魔法の花が何故か大好きだ。同じ竜種であるエグゼナガルも……もしかしたら。

 このことで、リカルドとワーウィックの生死が決まってしまうかもしれない。

 天井の光る苔が放つ薄明かりの中、スイレンは震える手を抑えて意識を集中させた。

 ポンっ、ポンっと音をさせて、静かな洞窟の中に鮮やかな花の蕾が開いていく。黒く美しい竜の身体をまるで取り巻くようにして螺旋状に広がった。

 エグゼナガルは、ふわふわと宙に浮く無数の花を静かに見上げていた。

(これの、花の匂いか……古き魔法だな。まだ、使い手が居たのか)

 黄金の瞳を彷徨わせ、エグゼナガルは大きな口を開けて浮いていた花を口に含んだ。

 スイレンは、コクリと息をのみ込んだ。これからの彼の反応次第で、救出出来るか決まってしまう。

 黙ったままの黒竜を、見つめたまま。それは、ほんの一瞬だったのか。それとも、数分を要していたのか。時間感覚をも失ってしまう程の、強い緊張感が走った。

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