【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「リカルド様。私も、リカルド様に会う事が出来て、辛かった今までのことがすべて報われた気がするんです。両親を失って、何も出来なかった自分は惨めで情けなかった……その現状を変えたくても、変えられなかった。リカルド様が私をガヴェアから連れ去ってくれたあの時から、全てそれが裏返った。もちろん。いつ来るかもわからない幸運をただ待っているだけじゃ駄目だと思うんです。私も……これからもずっと、リカルド様の傍に居られるように努力します」

 互いに微笑み、どんどん近付いてくる顔に彼の意図を悟ってスイレンは目を閉じた。

 キュル! と抗議するような高い鳴き声に驚き、目を開くと動きを止めたリカルドと目を合わせて微笑んだ。

「クライヴ。悪かった。お前の背中に乗っていたことを、すっかり忘れてたよ」

 苦笑したリカルドが謝り、スイレンも笑って今まで二人の会話を邪魔しないように黙っていてくれたクライヴに、お礼の意味も込め、色鮮やかな花を薄紫の夜明けの空に浮かべた。







< 224 / 340 >

この作品をシェア

pagetop