【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 再度囚われてしまっていた彼が、生きていることを実感して、スイレンは大きくため息をついた。

(本当に、良かった……運良く幾つもの大きな幸運が、重なったんだとしても……自分が彼の救出に尽力することが出来て、本当に良かった……)

 気持ち良さそうにぐっすりと眠っているリカルドを起こさないように、スイレンは注意深く音をたてないよう慎重にベッドから降りた。

 窓の外を見れば、もうとっくに見えている日は高くなっていた。

 通いのテレザも既に来ているのか、階下からは誰かの気配もする。

 日常に戻って帰って来たことを実感し、ほっと息をついたスイレンは森の中で汚れてしまった身体を洗うために浴室へと入った。

 服を脱ぎ大きな姿見の前に立つと、いつ何処でぶつけてしまったのか、足や腕にいくつか大きなアザが出来ていた。その存在に昨夜のことは夢じゃなかったという実感が、じわじわと湧いてきた。

 森の中で一晩中駆け回り、汚れてしまった身体を、温められたお湯が洗い流していく。

 良い匂いがする石鹸を泡立ててもこもことした泡で体を洗うと、何箇所か擦り傷がひりついて痛む部分もあったが我慢した。

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