【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「あの、スイレンさん? あの時は、混乱していてお礼を満足に言えなくてごめんなさい。私だったら。とても、魔の山にまで単身助けになんて、行けないもの。勇気ある貴女と、昔から知っているリカルドの幸せを祈るわ」

「イジェマ様……」

 さめざめと悲しむ失恋した直後を知っているスイレンは、彼女のあまりのあっさりとした潔い態度を見てぽかんとして何も言えなかった。

 二人に目配せをして軽く手を振ると、イジェマは颯爽と姿勢よく歩いて去って行ってしまった。

 取り残された二人で、顔を見合わせて笑い合う。

「イジェマは、元々ああいう奴なんだ。自分の好みに合わない鍛えた体を持つ俺のことなんか、欠片も好きじゃない。拘りがあって、都会的で洗練された美しいものが大好きな女なんだよ。きっと、大陸ですぐに似合いの大富豪を見つけて結婚するだろうな」

(きっと、そうなるわ。だって……イジェマ様は、努力家だもの)

 イジェマがあれだけ美しいのは、元々彼女の持つ素材が良いせいもあるだろうが、常に弛まぬ努力を本人がしていることが大きい。

 これから彼女が向かう行先が何処であれ、きっと自分が望むものを手に入れるだろう。



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