【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 スイレンは何も言わずにリカルドの胸に飛び込んで、ぎゅっと抱き着いた。リカルドは何も理由を聞かずに抱きしめると優しく髪を撫でた。

 二人で何も言わずに、手を繋いで家へと歩いた。辺りの家からも、夕食の美味しそうな匂いが漂う。きっと、家ではお腹をすかせたワーウィックが、今か今かと二人の帰りを待っているだろう。

 沈み始めた陽が、涙で滲んだ。昨夜から色々なことがあり過ぎて、スイレンの心中の整理は、ついてない。

「リカルド様。あの……私」

「ん? 何。スイレン」

 手を繋いだまま隣を歩いていたリカルドは、自分の名前を呼んだスイレンの顔を見て笑う。

 彼がとても愛しくなって、こんな時でも心がときめいた。スイレンには、この人でなければと駄目なんだと、それだけで確信してしまう程に。

「今夜も……一緒に、居て欲しいです」

 言い難そうに言葉を口に出したスイレンに、リカルドは小さく吹き出した。驚いて見上げれば、宥めるように頭にキスをしてくれた。

「うん。俺も、そのつもりだったけど……どうした?」

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