【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドの大きな声で我に返ったスイレンは、いつもの大通りに向けて慌てて走り出した。

 背後から、大型の攻撃魔法のつんざくような激しい音が幾度も聞こえて来る。

 数え切れないほどの、大きな竜を迎撃しているのだ。

 どんどんと、腹に響く重い音がした。

 もし、リカルドがどうにかなってしまったらと思うと、どうしても遠くに向かって走ることも出来ずにスレインは立ち尽くした。

 かといって、衛兵が集まり出した広場に戻ることも出来ない。

 スイレンは意を決して、近くにあった長い階段を登り切ると近くの高台に出た。

 竜騎士たちが救いに来たリカルドの居る広場の様子を、その場所から見つめることにした。

 上空から一頭の深紅の竜が真っ直ぐに彼の居る檻の近くに降り立つと、激しい威嚇音を出しながら、近くに居た何人もの衛兵たちを凶暴な口から噴き出す火炎で薙ぎ払う。

 深紅の竜が、リカルドが入っている檻の鉄格子を器用に前足で掴むと、驚くほど簡単に太い鉄の棒が撓んだ。

 鉄格子の隙間からサッと檻を出たリカルドは、労うように赤竜の頬に手を当てると、数秒かからない内にその竜に騎乗した。

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