【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 スイレンは堪らなくなって、背中を向けていたリカルドに思わず抱きついた。

 綺麗に盛り上がった筋肉があるせいか、彼に触れたところがひどく熱く思えた。

 これだけの肉体を鍛えるためには、どれだけの時間の鍛錬(ルビ:たんれん)が必要なのか。スイレンには、全く見当もつかなかった。

 ただわかっているのは、リカルドがそれだけ必死で竜騎士になりたくて、これまでに頑張って来たことだけ。

 スイレンは幼いリカルドが一生懸命頑張っている姿を思い浮かべると愛しさが溢れ、本当に自分はこの人が好きなんだと、また確信してしまった。

「これだと、俺は君を抱きしめられないな」

 リカルドは苦笑したまま、無理にスイレンが自分の腰に回した腕を振り解こうとはしなかった。

 スイレンは、彼の大きな背中に何回かのキスをした。まじまじと間近で確認しても、滑らかで美しい肌は、昨夜酷い傷を付けられていたとは思えないほどだ。

(本当に、傷跡も何もかも……ひとつも残っていない。治療の魔法って、本当にすごい)

「スイレン、参った。もうそろそろ、抱きしめても良い?」

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