【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 ガヴェアでは王都でしか生活したことのなかったスイレンは、こうしてリカルドと共に旅に出られることが素直に嬉しかった。

 彼はこの旅行のために何日か仕事の休みを取ってくれていると言っていたし、人化したワーウィックと一緒に三人で見知らぬ街を見て歩くことが、今から楽しみだった。

「ワーウィックが居れば、世界中どこにでも行けるよ。次は、どこに行きたい?」

 竜は人の目にも留まらぬ速さで、高速飛行をすることも出来る。

 ワーウィックがその気になれば、遠く離れた大陸に一日もかからずに辿り着くことが出来るだろう。竜騎士の中には世界旅行するが目的で、竜との契約を望む人間も居て、どこそこの国はこうだったという楽しい土産話には事欠かない。

 このまま世界中、どこにだって飛んでいける。

 スイレンは思ってもみなかった彼の言葉に、目を丸くして微笑んだ。

「世界中どこにでも行けると思ったら……逆に迷ってしまいますね。でも、これから色んな国に行って、色んな事を知りたいです。私が今まで、知らなかったこと」

 今のこの状況はガヴェアの王都で、花娘として一人花を売っていた頃には考えられなかった。

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