【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 三日間ほど、リカルドにとってとても味気のない日々が続いた。

 名前も知らない誰かに罵倒され、何かを投げ付けられる事には、もう嫌気がさしていた。

(もう罠だとしても、どうだって良い。あの花を抱えている女の子に、もう一度会いたい)

 まるでこんな地獄のような状況で現れた天使のようなあの子に会って、声が聞きたい。

 その日は、夜半すぎから雨が降り出して、土砂降りの冷たい雫は檻の中にも吹き込む。鍛えているので、それなりに体力はあれど、何日間も野晒しのような場所では、満足に睡眠も取ることも出来ない。何日も続くこの生活が、流石に堪えていた。リカルドは、少しだけでも眠ろうとして、瞼を閉じた。

 リカルドは、鼻に良い匂いがしたような気がして目を開けた。

(……ここは、檻の中だぞ。こんな良い匂いがする訳がない)

 夢ではないと我に返っても、優しい香りは現実の世界で続いている。

 はっとして檻の外を見れば激しい雨が降っているというのに、例の女の子が一生懸命にこちらに向けて手を伸ばしていたのだ。

 リカルドはそれを見て、驚いた。

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