【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 鍛えている身体を持つリカルドは、この程度の雨に打たれたところでなんともないだろう。だが、いかにも細くて儚げな彼女は、風邪をひいて体調を崩してしまうかもしれない。

 首を振ったリカルドを切なげに見つめると、ただ心配する言葉を残して、彼女は振り向き去って行ってしまった。

 雨の中去っていく彼女を追いかけたくて、檻の中で追いかけられない自分に腹が立った。濡れてしまったあの体を、温めてあげたかった。

 でも、それはこれから先ずっと、叶わぬことだ。

 いきなり魔法攻撃を食らって大怪我を負い墜落したワーウィックを庇い、自分の命を差し出した事に後悔はない。リカルドは、それだけは言い切れた。

 だが、初恋が死の間際だとは、神様は残酷なことをする。

 少年の頃からずっと憧れの竜騎士になりたくて、努力し続けていたら、幼い頃に親に決められた婚約者には泥臭いと毛嫌いされた。

 嫌われた婚約者が、なまじ絶世の美女だと噂される女性だったせいでリカルドに本気で近づいて来てくれる女の子はいなかった。

< 276 / 340 >

この作品をシェア

pagetop