【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 婚約者であるイジェマはリカルド自身は別に嫌いではなかったが、将来結婚を予定している相手が、幼い頃から憧れだった竜騎士になれた自分を認めてくれないという、言葉にならないやるせなさはずっと抱えていた。

 竜騎士になりすぐに不慮の事故で両親が亡くなって、デュマース家を継いだ。領地ある貴族としての仕事も抱えるようになって、多忙になり変わらずに冷たい態度を取り続ける婚約者と心を通わせる気力も潰えた。

 それから、恋愛沙汰からは自らずっと距離をとってきたつもりだった。

(あの健気で可愛い女の子は、もしかしたら……こんな自分を、気に入ってくれたのかもしれない)

 正直に言えば、こづくりな可愛らしい顔は、リカルドの好みそのままだった。絶世の美女と巷で呼ばれている婚約者のイジェマより、ずっと彼女の方が好ましく感じたのだ。

 こんな冷たい雨の中、走り去ってしまったあの可愛い女の子の帰る先が暖かな暖炉のある優しい空間だと良い。

 それをリカルドはこんな檻の中でどう足掻いたとしても、用意してあげることは出来ない。だが、どうかそうであってくれと心から願った。







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