【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 以前、南国を旅した時に群生していたのを見かけたことがあったからだ。

(一輪だけでも、こんなに嬉しそうだ……あの広い花畑を見せてあげられたら、どんなに喜んでくれるんだろう)

 一瞬だけ、その光景がリカルドの頭を横切った。ワーウィックに乗って、彼女をあの南国にまで連れて行く。それは、実現しない夢だった。

(いや。俺にはもう……到底、無理な話だ。ワーウィックも……あれだけの大怪我をしていたら、当分飛ぶことが出来ないだろうし……)

 祖国に保護されているはずの、自分の竜のことを思った。

 竜騎士の契約を交わしているので、生きているか死んでいるかくらいは流石に離れていてもわかった。心の中が、ワーウィックと繋がっているのだ。長い距離があるため、その声は聞こえないが。

 心の中でいつも騒がしい奴だったが、あの声がもう聞こえないとなると、寂しくもあった。

(今の自分の心の声を聞いたら、甘すぎて砂糖を吐くかもしれないけどな……)

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