【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドの竜ワーウィックは、竜騎士団でも有名なお喋りな竜だ。イジェマの事があって、恋愛に前向きになれないリカルドをいつも叱咤激励をしていたので、気に入った女の子が出来たと知れば喜ぶだろう。

「あのっ……私。そろそろ、帰りますね。話に付き合って頂いて、ありがとうございました」

 ぺこりとお辞儀をしてから、無表情を装うリカルドに微笑んから去って行く。

 彼女の細い後ろ姿を、リカルドはじっと見つめた。

(あの可愛い女の子と、デート出来たら楽しいだろうな。俺もそう口が上手い方ではないが、きっと二人なら沈黙があったとしても、なんだって楽しいだろう。あの子は、どんな物を欲しがるかな……)

 そこまで考えて、リカルドははっとして口を手で押さえた。檻の中にいる自分には、もうあの子に何も与えてあげられないことに気がついた。

 もうすぐ死んでしまう人間に、そんなことを望む権利もないだろう。

 二人歩く未来をあげることも、この心を返してあげることも、出来ない。

(あの子の好意に、俺の好意を返して何になる? もうすぐこの世からいなくなる人間なのに……無意味に、悲しませるだけで終わる)

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