【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 心配だった。どうして、また迎えに来れば良いと簡単に思ったのだろう。あの時に一瞬だけ見えたあの子の顔が、最後になる可能性だってあるのに。

(ワーウィック。一回、戻れるか)

 リカルドの言葉に、ワーウィックは憤慨した。

(何を言ってるの!)

 せっかく命からがら助け出したところなのにと、ワーウィックは怒っている。上位竜のイクエイアスが、ガヴェアの王都の守護魔法を弱めている時間は、もういくらかも残されていなかった。

 だが、リカルドはどうしても諦め切れなかった。

 安全策を取るなら、一度帰って策を練り戻って来ることが良いはずだとは理解していた。だが、あの子を救いたい、連れて行きたい。その考えだけがリカルドの頭を占めて、出て行かない。

(頼む。どうしても、連れて行きたいんだ)

 いつにない相棒リカルドの必死の声に、ワーウィックは瞬時に判断を下した。迷っている時間は、なかった。

 一気に速度を上げて、下降を始めた。

(チャンスは、一回だよ、リカルド。いくら僕でも、魔法障壁に閉じ込められたら、もう出られない)

 リカルドはワーウィックの言葉に何も返さず、意識を集中させた。

 可愛いあの子の未来を手に入れる。その一瞬を、逃さないために。


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