【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 どうしても気になってワーウィックに自分の匂いのことを何度も聞けば、呆れて心を閉ざしてしまったのか、全く返事しなくなった。

(何か言え……お前だけが頼りなのに)

 お喋りな性格の癖に、こういった必要な時に黙り込むとは。いつもお喋りに付き合わされているリカルドは、納得がいかないと思った。

 途中、ブレンダンが何か言ってきたような気がするが、前に座ったスイレンのことが気になるあまり良く覚えていない。

 背後から抱き竦める形になっているのは、竜に騎乗する姿勢ゆえ仕方ない。完全に不可抗力だが、そのやわらかな感触と良い匂いがたまらなかった。

 今まで鉄格子に阻まれて、触れることすら叶わなかった。高まっていく気持ちは、察して欲しい。

 高速飛行を終え竜舎にまで辿り着くと、とにかくリカルドは自分の家に帰って風呂に入ることだけを考えていた。

 上司である団長が呼び止めてきたような気もするが、そんな場合ではない。無視だ。

(早く、この体を洗いたい……)

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