【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】

7 寝顔(Side Ricardo)

(とにかく、時間を稼ぐんだ、リカルド。この場所を抜ければ、僕もそれなりに動くことが出来る。お願いだから……短気は起こさないで。お願いだ)

 ワーウィックは翼膜にリカルドの得物の長槍を突き立てられながらも、敵の魔法によって昏倒するまでずっと相棒の身を案じていた。

一度リカルドがその身をもって。自分の命乞いをしたことを気にしている事は知っていた。

(嫌だ。どうしても……このまま死ねない)

 身体中、血塗れになって吊るされている今もリカルドの頭の中に思い浮かぶのは、スイレンがはにかんだあの笑顔だけだ。

 魔の山は最強の名をほしいままにしているヴェリエフェンディの竜騎士団にとって、鬼門とも言える場所だった。

 イクエイアスの守護が対になる存在のエグセナガルとの盟約によって、干渉出来ないのだ。

 その場所に赴く理由となった魔物退治自体は、簡単な任務だった。気張って出撃してきたのに拍子抜けだったとも言える。

 近道の魔の山の麓を通ったのは当初の計画通りではあったが、まさかリカルドとワーウィックがそこで狙い撃ちに遭うとは思ってもみなかった。

(ガヴェアの魔法使い達が、何故ここに居るんだ?)

 リカルドは、偶然にしては出来過ぎた事態におかしいとは感じていた。

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