【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「……ガヴェアに捕らえられ、囚われていた俺に勇気を出して話し掛けてくれてありがとう。二週間もの、間。早朝に現れてくれる君だけが、あの場所での癒しだった。最初は俺を探るためのスパイかもしれないとは思っていた。君の懸命な言葉に……俺は救われたよ。君が両親もいないという話は、聞いていたから。もし後で迎えに来ようと思って、名前を聞いたんだが。あの花には驚いたな。もしかしたら、あれをした君も捕らえられるかもしれないから、我慢が出来ずに何も聞かずにこうして連れて来てしまった……あの国に、帰りたいか?」

 リカルドから真摯な視線を向けられ、甘くも聞こえる彼の低い声に聞き惚れていたスイレンは、問われた言葉の意味を一拍置いて理解すると、慌ててぶんぶんと首を横に振った。

 昨夜、彼に何処かに攫って欲しいと願っていたことが実際にこうして叶ってしまったのだ。

 それは、スイレンにとっては願ってもなかったことで。

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