【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 首を横に振るスイレンに、リカルドは面倒な顔など見せずに懇切丁寧に使い方を教えてくれた。

 水で流すトイレは、ガヴェアとほぼ同じ使い方だった。

 風呂に関しては両親が亡くなってから、井戸の冷たい水を汲み上げて体を拭くのが関の山で、湯の張られた温かい風呂に入った記憶のないスイレンにとっては未知の領域だった。

 リカルドは使い方をもう一度復習するようにして、スイレンに言い含めた。

「俺が居ると、着替えも出来ないし風呂にも入れないな。では、隣の部屋へ戻るから。もし、何かわからない事があれば聞いてくれ」

 そうして、リカルドは脱衣所に大きな紙袋を置いてからスイレンの部屋を出て行ってしまった。きっとあの紙袋に、今日彼がスイレンのために買って来てくれた服が入っているのだろう。

 お風呂を使ってみようと、紙袋の中からレースのついた高級そうなシルクの下着や可愛らしい水色の寝巻きを取り出した。

 スイレンはリカルドが教えてくれた通りに、身体を柑橘系の爽やかな香りのする石鹸で洗った。

 みるみる内に黒い汚れが落ちて、今まで汚れで色が変わっていた肌や髪が本来の色へと変わっていった。

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