【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】

1-6 知っていた

 次の日、寝つけなかったスイレンが目覚めればすっかり日は高かった。

 リカルドが持ってきてくれた紙袋に入っていた、可愛らしい形の水色のワンピースを着る。

 寝坊してしまったと慌てて自分の部屋から出て階段を降り、昨日夕食を頂いた居間を覗くと、白い布が掛けられた美味しそうな朝食が用意されていた。

 傍には机の上に流麗な文字で置き手紙があり、疲れているだろうからゆっくりと休むようにと書いてあった。

 スイレンは初めて見る彼の文字が嬉しくて、思わずリカルドの署名を指でなぞってしまった。彼から想像する通りの、きっちりとした美しい文字だった。

 リカルドは、もう家を出てしまっているようだ。

 通いのメイドのテレザも、何かの作業をしているのか。今は近くに居ないようで、姿が見えない。

 スイレンが用意されていた朝食を食べて皿洗いまで終わらせると、涼やかな呼び鈴の音がした。

「やあ。スイレンちゃん、今日も可愛いね。こんにちは」

 玄関を開ければ、昨夜も会ったばかりのブレンダンが悪戯っぽく微笑んでいた。

「おはようございます。ガーディナー様。あの、今リカルド様は……」

「いないよね。もちろん。知ってる知ってる。あいつが主役の凱旋式は、時間的にもう始まっているから。良かったら、スイレンちゃんも僕と見に行かない?」

「え、でも」

 昨夜リカルドから、凱旋式へは来てはダメだと言われているために、スイレンはブレンダンの言葉に逡巡した。

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