【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 集まった民衆から熱狂的な歓声が巻き起こり、リカルドは手を振ってそれに応えた。

 濃紺の生地で金と白の豪華な意匠が施された、いかにも物語に出てくる騎士といった出で立ちだ。その騎士服は、端正な顔立ちのリカルドに良く似合っていた。

 スイレンは、リカルドが登場したことを顔を綻ばせて喜ぶ。

 ブレンダンはスイレンの様子を面白そうに見て、彼の胸にたくさん着いている徽章は一つ一つが素晴らしい戦果を挙げたという褒美で、彼がこの国の英雄である証だと教えてくれた。

 そして、一人の美しい令嬢が彼に近づいて、祝福の花冠を頭に乗せ、リカルドの頬にキスをした。

「あれ? イジェマじゃないか。あいつも、この凱旋式に出ることになっていたのか……あれは、リカルドの婚約者で……」

 後ろに居たスイレンの事を振り返ったブレンダンは、思わず絶句した。

 スイレンは遠くにいるリカルドと令嬢の二人を見つめたまま、何も言わず静かに頬に涙を流していたからだ。

 スイレン自身もなぜこうして涙が出てくるのか、わからなかった。彼に婚約者が居ることは既にわかっていた。この恋が叶わないことは、元から知っていた。


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