【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 ようやく自分の言いたいことがすべて伝わったと思ったのか、ワーウィックは進行方向を向いて満足そうだ。

 スイレンは賢くて美しいこの竜が、もし自分が困ったらいつでも駆けつけてくれると思うと嬉しさに胸が高鳴った。

 それも、想い人のリカルドの竜だ。

 自分がそうした存在に気に入られるのは、素直に嬉しかった。

「君をそのまま、俺の家の前まで送る。今日は仕事で遅くなると思うから、先に寝てしまっても構わない……ブレンダンがもし来ても、絶対に家には入れないように」

 小さな子に言い含めるようにそう言うと、ワーウィックは行き先は心得たと言わんばかりに、滑るように巨大な竜舎のある方向へと下降し始めた。

「……その格好。最初、誰だか……分からなかった。似合ってるよ。スイレン」

 リカルドが耳元でぼそっと言ってくれた、その言葉がとても嬉しくて、真っ赤になったスイレンはさっきとは違う理由で泣きそうになった。

< 64 / 340 >

この作品をシェア

pagetop