【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「リカルド様の、妹君ですか? その……私は知っての通り平民で。お作法も、何もわからなくて……貴族のお嬢様に挨拶する方法も、全くわからなくて……失礼を、してしまうかもしれません」

(リカルド様の家族に……嫌われたくはない。出来れば、この国での最低限の作法を学んでから……)

 学がない事を恥じるようにして、しゅんとして答えるスイレンにリカルドは微笑みながら言葉を重ねた。

「そんなことを、気にするような奴じゃない。それに、妹のクラリスはある病気で寝たきりで……今はベッドの上なんだ。きっと退屈しているから、同じ年頃の君に会えたら喜ぶだろう」

 何度も大丈夫だと重ねてそう言ってくれるので、スイレンは戸惑いながらもリカルドの言葉に頷いた。

 リカルドの本宅デュマース邸は、城近くにある貴族街にあるのだと言う。

 スイレンが道中に馬車から窓の外を覗いて見ると、ただっ広い敷地を持つお屋敷ばかりが並んでいた。ガヴェアに居た頃には近づくこともなかった、身分を持つ貴族が住む区画だ。

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