【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 通いのメイドのテレザから、デュマース家の屋敷は伝統のある貴族の家でとても広大な敷地を持ち立派だと前情報を教えて貰ってはいたが、こうして彼と埋めがたい身分差があるという現実を目の当たりにしてしまうと、どうにも言葉も無くなってしまった。

 ここで生まれ育ったであろうリカルドにとっては当たり前のことなので、何でもない様子で屋敷へと入り、彼を待っていた執事に、いくつかの連絡事項に伝えてから、戸惑うスイレンを促して美しい螺旋階段を登った。

 リカルドに案内された彼の妹クラリスの部屋には、とても大きな窓があった。

 ベッドから満足に出られないという病床の彼女のために、せめてもの気遣いなのかもしれない。

 半身を起こしていたのは、リカルドと同じ燃えるような赤髪を持つ美しい少女だった。丁度本を読んでいたのか、膝の上に大きな本が広げられている。

「お兄様。おかえりなさい。帰って来たんだ」

 クラリスは敵国に捕らえられ、今まで命あるかもわからなかったはずの兄に会っても、平然とした表情で挨拶をした。

「敵国に捕まっていた兄に対して、随分な歓迎だな」

< 72 / 340 >

この作品をシェア

pagetop