【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 どうして断ろうかと思いあぐねている様子のリカルドと、彼に詰め寄る三人のいかにも貴族と言った様子の着飾った美しい令嬢達。

きっと、敵国からの生還を果たした彼に話が聞きたくて、こうして屋敷まで押しかけて来ていたのだろう。

 あんな風に令嬢達に囲まれている様子を見ると、リカルドはこの国で英雄と呼ばれて本当に人気があるんだということが窺えた。

 ガヴェアでは敵国の戦犯であるということもあり、彼に近付く人間はスイレン一人以外居なかったと思う。けれど、あれだけ見目が良いのだ。

 きっと、誰かから熱い視線で見つめられることもあったんだろう。

 そう思うとつきんと、胸が強く痛む。

(きっと、あの人にはたくさんの選択肢があって、それを選ぶのはどういった理由なのかわからないが、選ばれるのはきっと私ではない)

 平民と貴族なのだから、それは当たり前のことだ。けれど、そう思い至ると、切なくて悲しくなる。

 そして、浅ましくも思うのだ。

(あの人が……まだ檻の中に居たなら、私だけのもので居てくれただろうか)

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