【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 スイレンはこれまで竜に騎乗する際には必ず誰かに支えられて乗っていたし、不安になることなど少しもなかった。

 今は安定している鞍もないし、落とされたくなければワーウィックにしがみ付くしかないのだ。

 これでも、ワーウィックは自身が使うことの出来る最上級の保護魔法を与えているのだが、それはただ騎乗しているスイレンには知るよしもない。

(こんな勝手をして、リカルド様は怒るかもしれない。でも、大事なクラリス様の病気が治ってしまうなら、きっと喜んでくれるはず)

 そうしたら、花が咲くような笑顔で自分を褒めてくれるかもしれないと思うと、胸が高鳴った。

 スイレンはリカルドが喜んでくれるならなんでも、してあげたかった。何も持たない役にも立たない自分を、こうしてこの国にまで連れて来てくれて、家族になろうと言ってくれた彼に。

 何かしてあげられるなら……何でも、そう何でもしてあげたかった。自分の事を、いくら犠牲にしても。


◇◆◇


 高速移動と言わないまでも、かなり早い速度で飛行していたワーウィックが、急に速度を落とした。

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