【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
幼くして両親の死に落ち込み泣き通しやつれていた十歳になったばかりのスイレンを、姉と同じく珍しい花魔法が使えるからと花娘として無理矢理働きに出し、売り上げのほとんどを取り立てた。
そして、住まわせる場所は、みすぼらしい裏小屋だ。
王都の名物とも言われる花娘だと言うのにこれ以上見栄えが悪いと、花が売れないかもしれないと服と靴だけは仕方なく古着屋で買ってくれた。
だが、それ以外は全く世話などされることなく、ほぼ放置だった。
スイレンは売上金を手渡し不条理に責めるマーサにいつもの通りに何の口答えもすることなく、項垂れながら黙ったままで自分が住まう裏小屋へと入った。
一切れのパンと、固いチーズ。それと、井戸から汲んだばかりの冷たい水。それが、彼女の夕食だった。
スイレンは今の年齢になるまでに、叔母の家を出て行こうかと考えたことは数え切れないほどにあった。
けれど、ガヴェアでは信用ある後見人が居なければ、部屋を借りる事が出来ない。
考えもなしに出て行けば、住む場所もままならない事になる。