【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 これは非常事態で人命救護なのだし、彼は竜に選ばれてしまうくらいに高潔な人だ。

(きっと……リカルド様は、私の体など見ても何も思わないに違いないのに。自分だけこんなに意識してしまって……恥ずかしい)

「ああ。そうだな。君が言っていた事を、俺が真面目に聞いてあげていたら良かった。もうこんなことは……一人で突っ走ってしまうことは、絶対にしないって約束してくれ。倒れている君を見た時……心臓が、止まるかと思った」

 リカルドに強い力でぎゅっと抱きしめられて、大好きな彼に心配されていると思うと、どうしても申し訳なさより嬉しさが勝ってしまった。

「ごめんなさい……リカルド様」

 心配を掛けたというのに、喜んでいる自分が恥ずかしくて顔を伏せたスイレンに、リカルドは大きな手で頭を撫でてくれた。

「もう、良い。君が取ってくれた花は、ちゃんと保管しているから安心すると良い」

 その言葉を聞いて、スイレンはほっとしてリカルドの胸に体を預けた。


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