私は彼の所有物




「気にするのは同業者だけ」

「……馬乗りはやめて下さい」




客観的に見れば、とてもときめくシュチュエーションだと思う。
バスタオル一枚の私の上にはケイさん。
私の後ろはベッド。
甘い事が起きそうじゃない。
起きないけどね。



「じゃ、服着る?」



上から服が落ちてきて前が見えなくなった。
自分の匂いしかしない服をかき分ける。
また、ケイさんの顔が見えた。
ちょっと怒ってる?



「肌冷たいじゃん
早く着てよ」

「怒ってますか?」

「あたりまえでしょ」

「……着ますから、上から退いて下さい」



ケイさんは小さく溜息をついてから、私の上から退いてくれた。
そのまま、ベッドの端に腰をおろす。
私もベッドから起き上がり、ジーパンの中に入っていた地味なショーツを取り出した。
それに足を通し、ブラジャーを体につける。



「菜緒
今度髪の毛染めてきて
金髪がいい」

「分かりました」

「金には困ってないでしょ」



私の方をいっさい見ずに呟く。
いつも終わりはこの言葉とこの後ろ姿。
困ってるって言ったら、疑問に思うこと無くお金差し出すんだろうな。



「困ってないです」

「じゃ、また呼んだら来て」



都合のいい関係よりシビア。
< 10 / 12 >

この作品をシェア

pagetop