青春×6

交わらない気持ち

次の日の朝。

クラスLINEに、ぽんっと通知が来た。

『今日打ち上げしよ』

誰かの一言に、

『行くー』
『暇だし行きたい』
『どこ集合?』

一気に話が進んでいく。

気づけば、15人くらい集まることになっていた。

加戸の名前は、なかった。

たぶん、サッカー。

部活じゃなくて、クラブチームでやってるって言ってたし。

——仕方ないか。

少しだけ、残念に思いながら、

私は集合場所に向かう電車に乗っていた。

そのとき。

スマホが震える。

——久保田

『俺の好きな人、成田。』

一瞬、意味がわからなかった。

「……え?」

成田。

成田紗英。

頭の中で名前をなぞる。

でも、

久保田と紗英って——

接点、あったっけ。

思い出そうとしても、浮かばない。

それに。

勝手に、

久保田はみおのことが好きなんだと思ってた。

だから。

「……そっか」

小さくつぶやく。

驚きと同時に、

胸の奥に、ふっと軽くなる感覚があった。

——なんで、安心してるんだろ。

その理由は、考えないことにした。

打ち上げは、

思っていたよりずっとにぎやかだった。

笑い声と、くだらない会話。

テスト終わりの解放感で、

みんなちょっとテンションが高い。

「プリ撮ろー!」

誰かが言って、

流れでみんなで撮ることになった。

人が多くて、

ぎゅうぎゅうになりながら並ぶ。

そのとき。

隣にいたのは、かおるだった。

「ねぇ、めいちゃん。」

小さな声。

いつもより、少しだけ低い。

「なに?」

振り向く。

かおるは、少しだけ目を伏せていた。

「私さ」

一瞬、間があく。

「久保田のこと、好きなんだ。」

——やっぱり。

どこかで、わかっていた気がする。

昨日の、あの表情。

あの違和感。

全部、つながる。

「……そっか」

それしか、言えなかった。

何か言わなきゃって思うのに、

言葉が出てこない。

「みおと、かぶってるんだよね。」

かおるは、少しだけ笑う。

でも、その笑い方は、

やっぱり少しだけ無理してるみたいで。

「どうしよって感じ」

ぽつりとこぼす。

その一言が、やけに重くて。

——どうしよう。

頭の中で考える。

でも、

何も思いつかない。

正解なんて、わからない。

「……そうなんだ」

結局、それしか言えなかった。

無力だな、って思う。

友達なのに。

何もしてあげられない。

プリ機の中で、

「はい、撮るよー!」

って声が響く。

シャッターの音。

笑顔を作る。

でも、

その瞬間も、

頭の中はぐちゃぐちゃのままで。

かおるの言葉が、

ずっと残っていた。
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