隣国へ売られた裏聖女は黒騎士様の病を治して国も繁栄させてしまったので、帰ってこいと言われてももう帰してもらえません

57 愛し合う二人

 ガイズが部屋を出て、セイラとダリオスは部屋に二人きりになった。

(ガイズは本当に素晴らしい騎士だわ。ガイズの騎士としての決断と行動には本当に頭があがらない)

 一人で抱えていたものはどれほどだっただろうか。危ない橋を渡りながらも最後の最後までやってのけたのは、元ポリウスの騎士団長としての経験と騎士としての誇りなのだろう。

 セイラはガイズの去ったドアを見つめて微笑んでいると、セイラの手をダリオスが静かに握りしめる。それに気づいたセイラがダリオスを見ると、ダリオスはいつになく真剣な顔をしていた。

「ダリオス様……」
「セイラ、今回のことは本当にすまなかった。いくらガイズ殿に口止めされていたとはいえ、結果セイラには本当に辛い思いをさせてしまった。ガイズ殿が裏切りものだったと思わせられた時も辛かっただろう。それに、あれが最善だったとはいえ、結果あのような形になってしまった」

 きゅ、とダリオスはセイラの片手を握り締め、辛そうな表情でセイラを見つめる。

「……ルシアの処罰は決定したのですか?」
「ああ。ガイズ殿の報告を受けた時点であらかたは決まっていた。最終的に、もう改心の余地はないと判断されたから、決定は覆されないだろう」
「……処刑、されるのでしょうか」

 セイラはダリオスの手を握り返しながら、そっと静かに言う。

「……ポボスで命が尽きるまで永遠に過ごすか、収監される前に処刑されることを望むか、本人に決断させることになった。罪人アレクも同様だ」

 ダリオスの言葉を聞いて、セイラは両目を大きく見開き、息をのんだ。

 ポボス監獄要塞。レインダムの中で最も厳しく残酷な場所と言われている。レインダムの広大な敷地の外れ、どの国とも隣接していない海沿いにぽつんとたったひとつだけある島だ。そこには恐ろしい闇属性の魔物がはびこり、常に命の危険と隣合わせ、収監されてすぐに耐えられなくなり自ら命を断つ囚人も多いらしい。レインダムの高等魔術師たちが幾重にも結界を重ね、魔物も囚人も島から出れないようにされている。

(ルシアが、あの場所に……?)

 それだけ、ルシアはやってはいけないことをしてしまったのだ。ポボスへ収監される罪人は極悪で更生の余地のない人間、またはレインダムの平和を脅かす人間と判断された者だ。それに、ルシアは該当するとみなされたのだろう。

< 123 / 146 >

この作品をシェア

pagetop