1度ならず2度までも君に恋をする
 夜通し今までの隙間を埋める様に話し込んで、どちらからともなく意識を手放したのは明け方近くだったと思う。繋いだ手は一度も離れることなく、私達は穏やかな眠りについていた。

 先に目を覚ましたのは、珍しく私の方だった。すぐ隣で眠っている真紘くんの寝顔をじっと見つめると、無意識に口元が綻んでいく。

 カーテンの隙間から差し込んだ朝陽が、無防備な寝顔を優しく照らしていた。そんな可愛らしい表情がすごく愛おしかった。

 私はその顔を眺めながら繋いだ手に、そっと指先を絡め直した。すると、眠りの中にいるはずの彼が、無意識にかそっと私の手を繋ぎ返してくれる。そんな何気ない仕草に胸の奥がじんわりと熱くなった。

 まさかこんなに穏やかな気持ちで、この部屋で朝を迎えられる日が来るなんて思ってもみなかった。

 これまではどれほど激しく互いを求めあった夜があっても、翌朝には何事もなかったかのように振舞っていた。その度に、私はただの身体だけの関係にしか尽きないのかもしれないと考え、現実に心を削り取られるような思いをしてきた。

 けれど、今は違う。もう、朝が来たら消えてしまうような曖昧な関係じゃない。

 そう自分に言い聞かせるように、私はもう一度、彼の温かな手を強く握りしめた。
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