1度ならず2度までも君に恋をする
 心地よい微睡みに身を任せ、二度寝をしてした。

 次に目が覚めたとき、真紘くんはベッドの背もたれに身を預けていた。片手で本を広げ、もう片方の手で私の頭を撫でている。

 私が目を覚ましたことに気づくと、彼は慣れた手つきでしおりを挟んで本を閉じた。


「おはよ」


 低く穏やかな声。少しだけ目を細めて私の頭を撫でる彼の表情は、一見いつも通りに見えるけれど、優しさが滲んでいた。


「…おはよう。今何時?」

「十一時。まだもう少し寝てるかと思った。寝たのもう朝だったし」

「そっか、早いね。真紘くん」

「俺も起きたのは十時くらい」


 そう言って彼は撫でていた手を止め、ゆっくりとベッドから抜け出した。

 少しだけ名残惜しさを感じながらも、のそのそと起き上がり、彼の背中を追いかけるように寝室を後にした。






𓂃꙳⋆⭐︎





 リビングに向かうと、真紘くんはキッチンでコーヒーを淹れていた。ふとキッチン台に目を落とすと、そこには当たり前のように二つのマグカップが並んでいる。


(私の分も、淹れてくれるんだ)


 何も言わなくても、当たり前に用意してくれていて、そんな事にもささやかな幸せを感じた。

 私は彼の背後に歩み寄り、その背中にそっと腕を回した。

 真紘くんは少しだけ驚いたように肩を揺らして振り返ったけれど、すぐにコーヒーメーカーへと視線を戻すと、腰に回された私の手の甲を、彼の手が撫でていた。

 ただ、それだけの仕草だけど、その指先から伝わる温もりだけで、自分が愛されていることを痛いほど実感する。

 昨日までの不安が嘘のように、穏やかで優しい幸せが包んでいた。
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