1度ならず2度までも君に恋をする
 その日の週末。今週は結局、真紘くんとは言葉を交わす機会がないまま、休みに入ってしまいそうだった。デスクで、帰り支度をしていると、ポケットの中のスマートフォンが短く震えた。

 それを取り出しふと画面に目を落とすと、そこにはちょうど考えていた真紘くんの名前が表示されていた。


«仕事終わった?»


 ただそれだけの短い言葉に、緩みそうになる口元を必死に引き締める。周囲にバレないよう、平静を装って返信を打った。


«今終わったよ»


 それから返信を待つ間、そわそわとした足取りで駅へと向かう。十分くらい経過してから、再びスマートフォンがポケットの中で震わせた。画面に表示されたのは、«会える?»という四文字。

 彼の方から、こんな風に予定を尋ねてくれるなんて初めてのことだった。

 ああ、だめだ。こんなの浮かれるしにやけるに決まってる。

 必死に変質者に見られないようにだけ抑え、返信を打ち込んだ。


«会えるよ!»

«俺も今終わったから、最寄り駅で待っててくれると嬉しい»

«了解です!»


 指先でクマが敬礼しているスタンプをタップし送信する。
 スマートフォンを再度ポケットにしまい、駅へ向かう足取りは、いつもよりも浮き足立っていた。
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