1度ならず2度までも君に恋をする
⋆⸜


 帰宅してすぐ、買ってきたばかりの束を解いてそうめんの準備に取りかかる。夏が近づくと、あの喉越しのいい食べ物が無性に恋しくなる。

 冬に温かい食べ物や飲み物を求めるのと同じように、夏はするりと喉を通る冷たいものやしゅわしゅわとした炭酸の飲み物を身体が欲しがる。

 ふつふつと沸き立った鍋に麺を入れ、菜箸で十秒ほど掻き混ぜてから、火を止める。それから蓋をして、そのまま五分間待つ。

 私の作業を、隣で真紘くんが不思議そうに小首を傾げて見守っていた。
 その無垢な、子供のような表情がひどく可愛らしい。


「火止めるの?」

「うん。こうやって茹でると引っ付かないんだって」

「…へぇ」


 この茹で方はインターネットで検索して得た知恵だ。

 少しでもそうめんを美味しく食べたかった私は、そうめんの美味しく仕上がる茹で方を調べたら、この茹で方でつるつるに仕上がると書いてあり試したら本当に喉越しが良く、それ以来この方法を使っている。

 五分放置した後は、ぬめりを取るために冷水で洗い流し盛り付けるだけ。
 この簡潔な調理工程で美味しく食べられるから、私はそうめんが好き。

 その間に私がめんつゆの用意を進めていると、真紘くんも黙って箸や薬味を並べて手伝ってくれる。そして準備を終えると、また私の隣へ戻ってきた。

 意外と引っ付いて離れないのが可愛らしい。

 無意識なのか、それとも甘えているのか、家の中ではずっと離れようとしない彼の仕草に、胸の奥がくすぐったくなった。
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