1度ならず2度までも君に恋をする
 チョコレートが完全に溶け切ったところで、ようやく唇が離れたけれど、熱で溶け出した甘い跡が、私の口角から一筋零れ落ちる。

 慌てて拭き取ろうとしたけれど、真紘くんはそれを許さなかった。逃げようとする私の手を後頭部の髪に掻き入れ固定し、滴るチョコレートをゆっくりと舌で舐めとっていく。

 彼の拘束から逃れられず、翻弄されているうちに、ブラウスの裾から少しひんやりとした手が滑り込んできた。キャミソールの薄い生地越しに、掌が優しく腹部をなぞる。


「あっ…、ちょ、っと、ご飯…っ…」

「そんな気分じゃない、煽ったんだから、最後まで相手してよ」


 拒絶を許さない低く掠れた声。そのまま甘く耳朶を唇で食まれ、私の身体はビクッと跳ねる。耳元で何度もちゅ、と湿ったリップ音が響くたび、私の理性もみるみると溶かされていく。

 彼のシャツを必死に掴み、背中を走るゾクゾクとした快感に膝から崩れ落ちないよう耐えていると、今度は頬や目元に降るような優しい口付けが落とされた。

 そのまま流れるように壁際へと追い詰められ、彼は私の両手首を捕らえると、抗う隙も与えず頭上の壁に押し付け再び深いキスを交わす。

 ちょっとした茶目っ気のつもりで差し出したチョコレートは、彼の理性を溶かしてしまったらしい。

 息ができなくなるほど深いキスが繰り返される。静まり返ったリビングに、淫らな水音だけが鮮明に響き渡り、私は羞恥で顔が火照る。
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