1度ならず2度までも君に恋をする
 深い疲労と多幸感に包まれ、夢の中へと落ちていた。
 私の髪を彼の手が優しく撫でている。

 ふと見れば、彼の手元にはリビングに置いてきたはずの、あの手作りのチョコレートがあった。

 彼は私の頭から一度手を離し、一粒をそっと口に運ぶ。そしてじっくりと時間をかけ、ゆっくり舌の上で溶かしながら味わっていた。

 すぐになくなってしまうのが惜しいとでも言うように。


「…本当、好きだな」


 暗い寝室に溶け出した、密やかな呟き。
 その言葉が私の耳に届くことはなかった。

 意識はすでに、深く夢の中へと飛びだってしまっているから。一言も聞き逃したくないはずの大切な告白を、私は無防備な寝顔で聞き逃した。

 普段の彼なら、こんなふうに真っ直ぐ「好き」なんて言葉にしてくれることはないのに。

 眠る私の頬を、再び彼の手がそっとなぞる。その指先の優しい慈しむ様な触れ方にさえ気づかないまま、私は夜を明かそうとしていた。
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