1度ならず2度までも君に恋をする
 少しだけ深呼吸して、真紘くんにもう一度「元気だった?」と問いかけた。

 何よりも聞きたいことは"どうしてあの日何も言わずに別れを告げられたのか"だけど、今まで彼がどうしていたのかも、すごく気になってはいた。

 最初からその答えに踏み込む勇気はなく、軽い雑談から始める。


「…まあ。そっちは?ずっとこの会社?」

「うん。2年前は違う部署にいた」

「佐久間さんのところだろ」

「…知ってたの?」

「今日聞いた。元々うちの部署の可愛い部下だから優しくしてやってって」


 なんとも佐久間さんらしい。

 佐久間さんなりの私と真紘くんが気まずくならないためのフォローを入れてくれたのだと思う。


「…まあ、佐久間さんにはお世話になりっぱなしだね」

「よかったじゃん。夢叶えられてて」

「え?」

「コピーライターになりたいって昔から言ってた」


 そんなことを覚えていたとは思わなかった。

 佐久間さんにも真紘くんにもよく話した夢だ。大学の映像研究部のサークルで、高校の時に見たコマーシャルに胸を打たれ、それが夢になったから、自分もそう思わせられるものを作りたい、と。

 私の夢はちなみにまだ叶っていない。人にとって心動かされるものを作りたい、が最終的な夢であってコピーライターになることはまだまだその夢の途中だ。

 何も、叶ってなんかない。
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