1度ならず2度までも君に恋をする
 部屋の中に進むとシンプルで余計な物が置かれていなかった。だけど、ミニマリストと言う程、物が少なすぎる部屋でもなく、適度な生活感を感じられる部屋。

 白を基調とした室内は清潔で、最低限の家具やインテリアが置いてあった。ソファの端に無造作に置かれたクッションや、キッチンカウンターに並ぶ使い込まれたコーヒーメーカーが、生活感を感じさせる。

 壁際の本棚には、背表紙の高さごとに並べられていて几帳面な真紘くんらしいと思った。何度も読み込まれているのか多少の小さな傷があり隅にあるデスクの上には、ペンケースとライト、読みかけの文庫本が置かれたままだった。

 書くのを止めたと言っていたけれど、本をまだ愛している辺り完全に文字から離れることは出来ていないのだと感じた。

 真紘くんはジャケットを脱ぐと無造作にソファの背凭れに置き、ソファに座るとシャツのボタンを一つ外した。ボタンが一つ外れて見える首筋とか、それに加えて疲れて気だるげな表情が色気を放っている。

 少し緊張しながら窓の方に向かうと雨が窓を叩く強さは刻々と強くなっていて、まだまだ止みそうにはなかった。


「雨、止まないね」


 そう自然と声を掛け、後ろに気配を感じ振り返ると、真紘くんも後ろから窓の外の景色を見ていた。突然の距離の近さに息を飲み、彼の方を見上げる。
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