1度ならず2度までも君に恋をする
「え、何で問い詰めなかったの?」


 翌週の月曜日の昼休み。

 同僚の夏帆ちゃんは、フォークに巻きつけたペペロンチーノを口に運ぶことも忘れ、不満の入り混じった声を上げた。久しぶりのランチだというのに、彼女は露骨に眉を顰めていた。

 どこの女性が昼休みの楽しいはずのランチでそんな顔を見せると言うのか、と思わず苦笑いしてしまった。


「…聞けなかった、な。ごめん、って言われたのが、拒絶に聞こえて」

「そこで下がってくるのがまた…。私ならここまで手を出しといて、忘れてとか間違えたなんて発言されたらキレてる」

「…怒り、よりもショックが先に来て何も言えなかったな」


 あれほど聞くって意気込んでいたのに。

 五年越しの再会は自分の気持ちを微塵も伝えることができないまま、土俵に上がることすら許されず、早々に失恋が決まってしまった。

 嫌いになりたい。諦めたい。好きだった気持ちなんて忘れたい。あの日から、頭の中はそんな気持ちで埋め尽くされているのに。

 けれど、拒絶の理由を探そうとすればするほど、彼との記憶が鮮明に蘇ってくる。昔の思い出から、再会しても私の事を覚えてくれているところ。

 考えれば考えるほど、私の思考は真紘くんに奪われていき、諦めなんてつかない。

 嫌いになるための材料を集めようと記憶を呼び起こしても、気付けば好きだった理由ばかりを並べている。

 重症だ、って自分でも思った。
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