1度ならず2度までも君に恋をする
翌日、私はストプラ局へと足を運んだ。
目的は、佐久間さんに直接話をきいてもらうため。膨大なデータを読み解き、緻密な戦略を練った佐久間さんに筋も通さず、ただ自分勝手な言葉を並べたキャッチコピーを会議に出すような、そんな不義理な真似はしたくなかった。
何より、心から尊敬する上司である佐久間さんに、今の私の気持ちを聞いてほしかったのかもしれない。
オフィスを覗き込むと、佐久間さんは他の社員と真剣な表情で話し込んでいた。こちらには気づいていない。私はその邪魔をしないよう、話し終えるのを物陰からそっと待つことにした。
佐久間さんの、迷いのない言葉選び。相手を納得させる穏やかな口調。
「ここらへん、もう少し丁寧に作った方がいいね。枠組みはかなりうまく出来てるよ」
部下を否定せず、けれど甘やかしもしない。あの適度な温度感が、私にはどうしようもなく心地よい。
佐久間さんと仕事の話をしている時は、散らばっていた思考のピースが、一つ、また一つと音を立ててはまっていく。自分一人ではどうしても見つけられなかった正解の欠片を、佐久間さんの手が静かに差し出してくれるようなそんな感覚。
「森山?」
不意に名前を呼ばれ、ハッと意識を現実に戻す。
いつの間にか話し終えていたらしい佐久間さんが、不思議そうな顔でこちらを覗き込んでいた。
「あ…佐久間さん。すみません、お忙しいところ」
「いや、大丈夫。どうかした?」
佐久間さんはふわりと目元を和ませ、私を緊張から解放してくれる。
「あの、少しだけお時間いいですか。昨日のリサーチの結果を踏まえて、コピーの方向性を相談したくて」
迷子になっていた思考を整理するように、私は必死に言葉を紡ぐ。
佐久間さんは「もちろん」と短く答えると、空いている椅子を引いてくれた。そのさりげない気遣いひとつひとつに、胸の内側がじわりと温かくなるのを感じた。
目的は、佐久間さんに直接話をきいてもらうため。膨大なデータを読み解き、緻密な戦略を練った佐久間さんに筋も通さず、ただ自分勝手な言葉を並べたキャッチコピーを会議に出すような、そんな不義理な真似はしたくなかった。
何より、心から尊敬する上司である佐久間さんに、今の私の気持ちを聞いてほしかったのかもしれない。
オフィスを覗き込むと、佐久間さんは他の社員と真剣な表情で話し込んでいた。こちらには気づいていない。私はその邪魔をしないよう、話し終えるのを物陰からそっと待つことにした。
佐久間さんの、迷いのない言葉選び。相手を納得させる穏やかな口調。
「ここらへん、もう少し丁寧に作った方がいいね。枠組みはかなりうまく出来てるよ」
部下を否定せず、けれど甘やかしもしない。あの適度な温度感が、私にはどうしようもなく心地よい。
佐久間さんと仕事の話をしている時は、散らばっていた思考のピースが、一つ、また一つと音を立ててはまっていく。自分一人ではどうしても見つけられなかった正解の欠片を、佐久間さんの手が静かに差し出してくれるようなそんな感覚。
「森山?」
不意に名前を呼ばれ、ハッと意識を現実に戻す。
いつの間にか話し終えていたらしい佐久間さんが、不思議そうな顔でこちらを覗き込んでいた。
「あ…佐久間さん。すみません、お忙しいところ」
「いや、大丈夫。どうかした?」
佐久間さんはふわりと目元を和ませ、私を緊張から解放してくれる。
「あの、少しだけお時間いいですか。昨日のリサーチの結果を踏まえて、コピーの方向性を相談したくて」
迷子になっていた思考を整理するように、私は必死に言葉を紡ぐ。
佐久間さんは「もちろん」と短く答えると、空いている椅子を引いてくれた。そのさりげない気遣いひとつひとつに、胸の内側がじわりと温かくなるのを感じた。