1度ならず2度までも君に恋をする
その日も結局、遅くまで一人で残り作業をしていた。静まり返ったオフィスには私がキーボードを打ち込む音と、時折資料をめくる音だけが響き渡る。
そんな作業の合間に、ふと、ノートの端に書いた「Noir」という文字をペン先でなぞった。
フランス語で『黒』。それは、すべての色を飲み込み、同時に、何色にも染まらない色。
仕事に邁進する「苦み」と、自分を慈しむ「甘み」。この二つは、どちらもなくてはならないもので、どちらも手放せはしないものだ。そして、この商品はどちらも感じさせてくれる商品。
十五秒のCM。そのラストカットに、あの艶やかな黒い一粒が映し出される。そこに重なるべきなのは、野暮な説明ではない。働く誰かが一瞬で「あ、これは私だ」と自分を投影できるような、静かな衝撃が必要だと思った。
思考を研ぎ澄ませ、いくつもの言葉をモニターに映していく。
『媚びない。けれど、自分だけには甘くありたい』
『折れない心は適度な甘みで出来ている』
『私を完成させる、黒』
『苦みで立ち上がり、甘みで満たされる。私のための、黒(ノアール)』
打ち込んでは、消し、打ち込んでは、また削除する。
記憶に突き刺さるコピーを。それだけを求めているのに、言葉は産みの苦しみを伴って、なかなか輪郭を結ばない。
ノアールは、ただの菓子じゃない。戦場のような日常を生き抜く私たちが、自分自身を肯定するために必要な一粒になる事を伝えたい。
思考の果てに、もう一度だけキーボードを叩いた。
『凛と、甘く。私のための、ノアール』
このキャッチコピーを打ち込んだ瞬間に、じんわりと胸の内側が熱くなるのを感じた。
静まり返ったフロアで、深く、長く息を吐き出す。さっきまであんなに重かった肩が、不思議と軽くなっていた。暗闇の中で、パソコンの画面だけが白く光っている。
そこには、迷いを断ち切った答えが、確かに刻みこまれていた。
そんな作業の合間に、ふと、ノートの端に書いた「Noir」という文字をペン先でなぞった。
フランス語で『黒』。それは、すべての色を飲み込み、同時に、何色にも染まらない色。
仕事に邁進する「苦み」と、自分を慈しむ「甘み」。この二つは、どちらもなくてはならないもので、どちらも手放せはしないものだ。そして、この商品はどちらも感じさせてくれる商品。
十五秒のCM。そのラストカットに、あの艶やかな黒い一粒が映し出される。そこに重なるべきなのは、野暮な説明ではない。働く誰かが一瞬で「あ、これは私だ」と自分を投影できるような、静かな衝撃が必要だと思った。
思考を研ぎ澄ませ、いくつもの言葉をモニターに映していく。
『媚びない。けれど、自分だけには甘くありたい』
『折れない心は適度な甘みで出来ている』
『私を完成させる、黒』
『苦みで立ち上がり、甘みで満たされる。私のための、黒(ノアール)』
打ち込んでは、消し、打ち込んでは、また削除する。
記憶に突き刺さるコピーを。それだけを求めているのに、言葉は産みの苦しみを伴って、なかなか輪郭を結ばない。
ノアールは、ただの菓子じゃない。戦場のような日常を生き抜く私たちが、自分自身を肯定するために必要な一粒になる事を伝えたい。
思考の果てに、もう一度だけキーボードを叩いた。
『凛と、甘く。私のための、ノアール』
このキャッチコピーを打ち込んだ瞬間に、じんわりと胸の内側が熱くなるのを感じた。
静まり返ったフロアで、深く、長く息を吐き出す。さっきまであんなに重かった肩が、不思議と軽くなっていた。暗闇の中で、パソコンの画面だけが白く光っている。
そこには、迷いを断ち切った答えが、確かに刻みこまれていた。