1度ならず2度までも君に恋をする
「…そんなに見て来ないでよ」


 彼は居心地が悪そうに視線を逸らし、ぶっきらぼうにそう言い放った。

 その少しだけ拗ねたような声音さえ、今の私にはたまらなく愛らしく感じる。


「今、笑いました?」

「気のせい」

「笑いましたよね!?」

「気のせいだって言ってるじゃん」


 彼は意地でも認めようとしない。

 だけど、耳がほんのりと赤く染まっているのを私は見逃さなかった。

 この人はただ感情を出すのが苦手なだけで、その内側には、驚くほど感情が豊かなのかもしれない。

 彼の知らない部分を見つけるたびに、一歩、また一歩と、少しずつ近付けている様な気がする。


「はあ、やりにくい。なんなの、森山さんって」


 真紘くんは観念したように息を吐き出した。呆れたような、けれどどこか拒絶しきれない甘さを含んだその口調に、私はさらに調子に乗ってしまう。


「嫌じゃないくせに~~~~~」

「生意気なんだけど」

「実は可愛いって思ってますよね。知ってます」


 そう言って、得意げに首を深く縦に振ってみせる。

 真紘くんは一瞬、言葉に詰まったように私を見つめ、それから観念したようにふっと笑いを零した。


「なんなの、それ…」


 向けられた呆れ顔さえ、驚くほど優しい。
 その声色には、私を突き放すような冷たさは微塵もない。

 本気で嫌がっているわけじゃない。それどころか、この踏み込んだやり取りを彼もどこかで楽しんでいるのではないか。

 そう感じられたことが、私に少しだけ小さな勇気を与えてくれていた。
 もう少し近付けたら、この人に告白したい。
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