1度ならず2度までも君に恋をする
 それから数日後のことだった。サークルの部室で映画鑑賞会をすることになり、買い出しの担当をジャンケンで決めることになった。

 私はあえなく負けてしまったけれど、それは不幸中の幸い…、いや、もはや幸運だったと思う。真紘くんの方を見ると、彼も負けていたから、二人きりになるチャンスが出来た。

 夕暮れ時の街を、私たちは近くのスーパーまで並んで歩いた。


「チョコレートは必須ですよね。あとは、パイの実、さくさくぱんだ、ポッキー、たけのこの里に…、あ、きのこの山派の人の為にきのこの山も」

「甘いもん、ばっかじゃん」

「いいんです、みんな好きなはず。佐野先輩は何が好きなんですか?」

「かりんとう」

「へー、意外」


 渋い。渋すぎて逆に可愛い。

 そんな言葉を飲み込んで口元が緩みそうな私を余所に、彼は淡々と続けた。


「あとは甘納豆とか、干し芋」

「チョイスがお年寄りすぎませんか?」

「…かりんとうと干し芋と甘納豆に謝って。あと、全国のお年寄りにも」

「ごめんなさい」


 真面目な顔で失礼を咎める彼に、私は笑いながら謝った。

 スーパーの中に入ると、結局、私の推した甘いお菓子としょっぱいものを半々くらいの割合でカゴに入れた。さらにコーラやオレンジジュース、お茶などの重たい1.5リットルのペットボトルも数本購入する。

 そしてその中に、真紘くんの好きなかりんとうも忘れずに忍ばせて、私たちはレジで会計を済ませた。

 ずっしりと重くなった買い物袋を両手に持ち、スーパーを後にする。


「かりんとう、選んでくれたんだ」

「佐野先輩の好きなものも入れないと。買い出し係の特権ですよ」


 私の言葉に何も返さず、黙って私の手元から一番重い方の袋を奪うようにして持ってくれた。

 こういう、言葉足らずなのに行動だけがずるいほど優しいところ。

  無自覚にきゅんとさせてくるから、本当にやめてほしい~~~~~。

 心の中では叫び出しそうなほど悶えているけれど、表向きには平静を装い、軽くなった方の袋を抱え直し、私は少しだけ歩幅を早めて彼の隣に並んだ。
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