1度ならず2度までも君に恋をする
𓂃꙳⋆⭐︎


 そして現在。

 あの時の私は誰よりも幸せだったのだ。
 幸せで、それがずっと続くと思っていた。

 それなのに 彼の卒業式の日に『別れよう。だからもう、連絡もしないで』と、突き放すようなその一言で、積み上げてきたすべてが音を立てて崩れた。

 理由は今も分からないまま、五年も引き摺って…。

 それなのに再会して早々、私は彼と身体を重ねてしまった。聞きたいことは何一つ聞けないまま、ただ肌の温もりだけで虚しさを埋めるような真似をして、…私は一体、何をしているのだろうか。

 レモンサワーを飲み込みながら、私は静かに息を吐いた。

 佐久間さんは、私がすべてを吐き出すまで、遮ることなく静かに耳を傾けてくれていた。


「私…、何がダメだったんでしょうか」


 視界が熱く滲み、言葉が震える。
 あの日からずっと、私だけが止まったまま。

 何百回、何千回と繰り返した自問自答が、喉の奥からせり上がってくる。


「…森山」

「…っ、大好き、なんです。今も…、…でも、よくわかんなくて…」


 アルコールに呑まれ、情けないほどにボロボロと零れ落ちる本音。

 目の前にいるのが職場の上司だということも、ここが居酒屋だということも忘れて、私はボロボロと涙を零している。

 本当に、迷惑極まりない部下。
 呆れられても、突き放されてもおかしくない。

 佐久間さんは何も言わず、ただ大きな手で、私の頭をゆっくりと撫でてくれていた。その手のひらの温かさは、すごく優しくて、それが余計に、今の私には苦しい。
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