1度ならず2度までも君に恋をする
 それからというもの、メッセージを送ってもレスポンスはなく、会社でも顔を合わせられない日々が続いた。

 曖昧な関係の私が、会ったところで何を聞くつもりなのか。自分でも答えは出ないけれど、とにかく一度顔を見て安心したかった。

 だけど、真紘くんは撮影現場だけでなく映像制作のチェックにも奔走しているらしく、なかなか社内にもいない。

 ストプラ局へのヘルプ期間が終わり、私はコピーライターとしての日常に戻った。久しぶりに佐久間さんと組み、あの経験を糧にと、モチベーションは上がっているはずなのに、金曜日のあの話を聞いて以来、どうしようもなく気分が沈み、仕事に身が入らない。


─────社会人失格。


 そんな言葉が今の自分にぴったりな気がして、重い溜息を吐き出す。

 気分を変えようと、あえて別フロアの自動販売機まで飲み物を買いに行くことにした。そこで見覚えのある背中を見つけた。

 その相手は、佐久間さんだった。最近、よく顔を合わせる気がする。


「あれ、飲み物買いに来た?」

「気分転換に」

「そうだよな、大きな案件も一段落したし、今は少し手持ち無沙汰だよな。何飲む?」

「え、買ってくれるんですか?」

「いいよ。ヘルプのお礼」

「わーい、ありがとうございます!」


 お言葉に甘えて佐久間さんの隣に並び、自動販売機に目を向けた。
< 94 / 149 >

この作品をシェア

pagetop