恋は手のひらの上で
••┈┈┈┈••

部屋に戻って、玄関のドアを閉める。

静かだ。

急に、今日一日が頭の中に戻ってくる。

椎名さんの家。
ソファで寝ていた姿。
メガネ、腕時計、マグカップ。

名前を呼んだときの、あの顔。

今日交わした会話のすべて。


胸の奥が、また熱くなる。
熱のせいじゃない。

私はゆっくり壁にもたれた。

「…だめだ」

小さくつぶやく。


もう、分かってしまった。
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