恋は手のひらの上で
答えるたびに、二人が揃って仰け反る。
二人の動きの方がよっぽどドラマのようだ。

「ちゃんと別々なんだ」

「よかったね」

「いいの?男として」

「当たり前でしょ。熱あったんだよ」

紗英と麻耶の意見が噛み合わず、それはそれで面白い。


「それで?絶対、まだあるでしょ?」
と、疑わしい目を私に向けてきた。

私はグラスを持ち上げて、視線を迷わせる。

「看病、してくれたよ」

紗英がぴくっと反応する。

「どこまで?」

「体温測ってくれたり、お水出してくれたり」

細かいことは言わない。全部言ったら、二人はたぶん感情のジェットコースターに乗ってしまう。

「彼氏ムーブはんぱない」

麻耶のつぶやきが、なかなか強めだ。
なんとか反抗してみる。

「違う」

「いーや、違わない」

断言され、慌てて私はジンジャーエールをひと口飲む。

紗英と麻耶は顔を見合せてニヤリと同じ顔をした。

「芽依、好きだよね?」

「好きじゃなきゃ、ちゃんと嫌だって言うよね、芽依なら」

二人の“もう分かってる”顔が、私に集中する。
たぶん、私の顔はちゃんと赤いと思う。


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