恋は手のひらの上で
それに─────

私はワインを一口飲んだ。

「ジェル、シリーズ化の話が出てるって」

紗英と麻耶が同時に顔を上げる。

「え!すごくない?」

「やったじゃん!」

「まだ正式じゃないけど。前向きだって言ってもらえた」


電話越しの椎名さんの声を思い出す。

─────“また一緒に仕事できますね”。


その言葉だけが、シンプルに心に残っていた。


「ねぇ、ここは喜ぶところでしょ?なんで暗いの?」

私が妙に落ち着いているからか、紗英は不満そうだった。
もっと嬉しそうにできればよかったのかもしれない。

「嬉しいよ!ちゃんと嬉しい。けど…」

麻耶がなにかを察したのか、肘をついて私の顔を眺める。上から下まで。

「なるほど。会えてないね?」

「…えっ、そういうこと?」

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